高校 卒業式 2月28日


 日本海から吹きつける冷たい風も次第に暖かくなり、萩の町の中でも春の息吹が感じられるようになりました。この早春の佳き日に、萩市長野村興兒様をはじめ、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、ここに平成二十八年度萩光塩学院高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは、卒業生はもとより、在校生・教職員にとりましてもこの上ない喜びです。心より感謝とお礼を申し上げます。
只今卒業証書を授与いたしました四十八名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんは入学以来、「世の光・地の塩」の建学の精神のもと、学習や部活動、ボランティア活動、また様々な学校行事に、かけがえのない仲間と共に全力で取り組んできました。そしてそこから優しい心と大きな力を身につけながら着実に成長してきました。この三年間、校舎の中に広がっていた皆さんの笑顔と弾けんばかりの声、その一つ一つが、私にとっても大切な思い出となりました。特に開校記念ミサやキャロルコンクールでの皆さんの歌声はとても美しく、その歌声に下級生たちも導かれ、この体育館がヨーロッパの聖堂を思わせる厳粛な雰囲気に包まれた時はとても感動的でした。今改めて、この学院で皆さんと出会い、ともに学ぶことができたことに心から感謝しています。
これから皆さんには、この学院で身につけてきた力を、人のため、地域のためにいかんなく発揮していくことが求められます。今日の卒業という日は、皆さんが社会のために奉仕する新しい出発の時でもあります。
 皆さんもよく知っているとおり、私たちの学校「萩光塩学院」は、スペインを発祥地とする『べリス・メルセス宣教修道女会』が設立母体となって今から六十五年前に設立されました。創立者のマドレ・マルガリタは、スペインにある姉妹校で学び、その後修道院に入り、シスターになってからも教師として生徒たちとのかかわりを大切にされました。そして新たな挑戦として、広く世界に目を向け『愛』と『希望』を全ての人々、特に若者たちに伝えたいとの思いを強く持つようになりました。まずスペインから中国に赴き、次にミクロネシアの島々、そして九十年前、東京に光塩女子学院を創られた後、私たちの学校が設立されました。日本の学校設立にあたっては、シスターの手紙や日記から、当時の日本での生活がどんなに困難なものだったか知ることができます。私も創立者について学ぶ機会を持ちましたが、その中で私が一番心惹かれたのは、時代の大きなうねりの中で、シスターが神の教えと自身の信念に従って、勇気と大胆ともいえる行動力をもって新しい歩みを始めたことです。この思想と行動力は、郷土の偉人吉田松陰先生と相通ずるものがあります。九十年前の世界の情勢は、交通手段・通信手段などをとってみても、今では想像もつかないほどゆっくりとした動きで、そこから世界に展開していくことは本当に困難なことでした。シスターの生涯は決して、安易なものではなく、命をすり減らしてのものであり、彼女の命の代価として、今私たちはこの学院で共に学ぶことができるのです。皆さんの新たな出発にあたり、私は皆さんが、創立者と同じ勇気と大胆な行動力をもって新しい世界へ歩み出していくことを願っています。
 この地球上には信じられないほど多種多様な価値観と複雑なものの見方、考え方があります。また皆さんを待ち受けている社会は、かつてないスピードで変化しています。産業構造の変化やグローバル社会の進展に伴い、これまでの枠組みから新たな仕組みづくりへの転換が求められています。このような時代だからこそ、私たちに必要なことは、物事を一元的に捉えることなく、自分とは異なる考え方を持つ人がいることを認め、それを受け入れる勇気を持つことです。皆さんは、萩光塩学院で、修学旅行や多くの異文化交流などを経験する中から、他者とのかかわりや広い視野で物事を見、考え、判断することを学んできました。
これから広い世界に飛び立っていく皆さんにひとつの言葉を贈ります。『Think globally Act locally』この言葉は、今年度の本校のスクールガイドの表紙にも載っています。世界的な視野で物事を考え、そして地域のために行動するという意味です。また「夢高く・地に足つけて」とも訳されます。グローバリズムの基本はローカリズムです。卒業生の皆さん、まずは美しく豊かな自然があるこの萩の町で育ったことに感謝してください。そして、そこで鍛え、蓄えた力を信じて、ビルの聳え立つ大都会でも、言葉が不自由な外国でも、恐れることなくマドレ・マルガリタや松陰先生のように、胸を張って堂々と生きてください。急速に進むグローバル化社会の中で、現状を打ち破る新しい叡智と若いエネルギーが今こそ必要とされているのです。
 保護者の皆様、本日はお子様のご卒業、誠におめでとうございます。人生で最も多感で、しかも著しい成長期のお子様が、こうして卒業の日を迎えられましたことは、感慨もひとしおかと思います。この間、本校の教育活動に多大なご支援とご協力を賜りましたことに深く感謝いたします。本当にありがとうございました。
 卒業される皆さん、皆さん一人ひとりのこれからの歩みが、建学の精神のもと、自分のまわりに喜びと光をまくことができる魅力的な人となるよう祈念し、また萩光塩学院を卒業されてからも見守り、応援していくことを約束してお祝いの言葉といたします。


      平成二十九年二月二十八日
           萩光塩学院高等学校  校長  中村 柔道