2/15(金) 朝礼のことば

 山口県でも、食べ物のチェーン店が街にあふれています。チェーン店では、調理から接客まで徹底的にマニュアル化され、味やサービスの均一化が図られています。

 私は、ある『とんかつのチェーン店』が気に入っていました。味はもちろんのこと、きめ細やかなサービスを行っているからです。昨年の夏その店に出かけ、お替りしたキャベツを食べていた時のことです。もそもそとした触感に違和感があり吐き出すと、2.5センチぐらいの長さの白いストローの切れ端でした。しかも、先端が鋭く斜めにカットとされていたのです。気づかずに飲み込んでいたら、のどが傷つき大変なことになるところでした。私は、通りかかったウエイターにそのストローの切れ端を見せました。

 皆さんが、ウエイターだったらどうしますか。

 若い人でしたが、満面の笑みを浮かべて「すみません。今後、このようなことがないように責任をもって気を付けます。」と、自信たっぷりに答えたのです。

 私は、がっかりしました。

 こういう場合は、まず調理場か上司に連絡しなければいけません。その後、店の責任者からお客へ丁寧な謝罪があるはずです。もしかすると、お詫びとして食事代がタダになるかもしれません。

 この店なら、当然トラブルへの対応マニュアルがあり、従業員なら知っているはずです。

 しかし、彼は事の重大性を全く理解せずに、『お客が怒らないように、とりあえず謝っておこう』と、勝手な判断をしたのではないでしょうか。

 レジでも何も言われず、私は失望して店を出ました。

 渋滞のため、車がなかなか駐車場から出られずにいると、突然店から人が飛び出してきて、周囲を見回すと、すぐに中に入ってしまいました。暗闇ではっきりとはわかりませんでしたが、先ほどのウエイターだったに違いありません。たぶん、調理場にお皿を下げて問題が発覚し、お客を呼んで来いということになったのではないでしょうか。残念ながら、彼からはお客を見つけようという熱意は感じられませんでした。

 日が経つにつれ、私は腹が立ってきました。本来悪いのは調理場なのですが、ウエイターの一連の対応に対して腹を立てたのです。

 お店に抗議の電話をかけようとも思いましたが、結局しませんでした。

 その理由は、彼が不利益を受けたらかわいそうだということもありますが、以前その店で中年のウエートレスさんが、とても親切な対応をしてくださったことを思い出したからです。

 冷静に考えてみると、私自身も彼のような無責任な対応で、何度周囲に迷惑をかけてきたかしれません。

 『いくらマニュアルがあっても、正しく使わなければ意味がない。突発的な事態が起こった時ほど求められるのは、一人ひとりの的確な判断と行動だ。しかし、それ以上に重要なのが、誠実に向き合う姿勢なのだ。口先だけか誠意をもってやっているかは、自分が思っている以上に他人に見透かされている。』...... 今回のトラブルで、私が気付いたことです。

 最近の日本では、不正・不祥事のニュースに事欠きません。毎日、当事者や責任者が、深々と頭を下げ謝罪の言葉を述べています。しかし、『この人は本当に心から言っているのだろうか』と、疑問を感じることがあります。また、『誠実に取り組んでいれば、不正や不祥事自体、起こるはずがなかったのではないか』と、しばしば思います。

 私も含め、特に次の時代を担うみなさんには、どんな時にも物事に誠実に取り組む姿勢を大切にしてほしい、と思います。